【厚生労働省からの説明】
産婦人科の関係学会は、海外における多くの妊婦へのmRNAワクチンの接種実績から、ワクチンは、妊娠初期から妊婦と胎児の双方を守り、重篤な合併症が発生したとの報告は無いとしています。また、妊娠中のいつの時期でも接種可能としています。また、妊娠中に新型コロナウイルスに感染すると、特に妊娠後期は、重症化しやすいとされています。
米国では、既に10万人以上の妊婦が新型コロナワクチンを接種しています(2021年5月3日時点)。妊娠中にmRNAワクチン接種をした約3万5千人の女性の追跡研究の報告では、胎児や出産への影響は認められませんでした。米国CDCは、妊婦にも接種の機会が与えられるべきだとしております。これは、妊婦は同世代の妊娠していない女性と比べて、新型コロナウイルスに感染した場合に重症になりやすく、また早産や妊娠合併症、胎児への悪影響のリスクが上がることが主な理由です。
妊娠中にmRNAワクチンを受けた方の臍帯血(胎児の血液と同じ)や母乳を調べた研究では、臍帯血にも母乳中にも新型コロナウイルスに対する抗体があることが確認されています。こうした抗体が、産後の新生児を感染から守る効果があることが期待されています。
【日本産婦人科感染症学会からのQ&A】
Q. 妊娠のいつの時期に接種した⽅がいいのでしょうか?
A. いつの時期でも接種可能です。⼼配な⽅は器官形成期(妊娠 12 週まで)を避けるこ とをお勧めしていますが、現時点で明らかなワクチンによる催奇形性(胎児に奇形が 起きること)の報告はありません。また、地域の流⾏状況にもよりますので、主治医 にご相談ください。
【アメリカの論文:Preliminary Findings of mRNA Covid-19 Vaccine Safety in Pregnant Persons :妊娠中の方のmRNA Covid-19ワクチンの安全性に関する予備的調査結果】
ワクチンの初回接種を受けたことを報告したのは、受胎前後に92人(2.3%)、妊娠第1期に1132人(28.6%)、妊娠第2期に1714人(43.3%)、妊娠第3期に1019人(25.7%)であった。妊娠を完了した827人のうち、712人(86.1%)が生児を出産し、104人(12.6%)が自然流産、1人(0.1%)が死産、10人(1.2%)がその他の結果(人工流産、子宮外妊娠)であった。104件の自然流産のうち96件(92.3%)は妊娠13週以前に発生しており,生児を出産した712件の妊娠のうち700件(98.3%)は,対象となるワクチンの初回接種を妊娠第3期に受けた人であった.多胎妊娠の12組を含む724名の生児の有害事象は,早産(37週以前に接種した636名のうち60名[9.4%]),妊娠期間に対して体格が小さい(724名のうち23名[3.2%]),主要な先天異常(724名のうち16名[2.2%])であったが,新生児死亡の報告はなかった.先天異常を報告した妊娠完了者のうち、妊娠第1期または妊娠前後にワクチンを接種した者はおらず、先天異常の特定のパターンは観察されなかった。妊娠および新生児の有害事象の発生率は過去に報告されている一般の発生率と同等であった。
有害事象 |
一般の報告 |
ワクチン接種後 |
自然流産 |
10~26% |
12.6% |
死産 |
1%未満 |
0.1% |
早産 |
8~15% |
9.4% |
体格が小さい |
3.5% |
3.2% |
先天異常 |
3% |
2.2% |
新生児死亡 |
1%未満 |
0.0% |
この論文は厚生労働省が「ワクチンは妊娠中のいつの時期でも接種可能」と言っている根拠となったいる論文で、2020年12月14日から2021年2月28日までにワクチン接種した人が対象となっており、論文の発表日は今年の6月17日。この論文の最大の問題点は妊娠初期に接種した人はまだ出産していない、と言うこと。この論文で妊娠初期に接種して先天異常の発生率が高くならないとは言えない。もしかしたら大丈夫かも知れないけど、少なくとも、2021年9~10月にならないと、妊娠初期に接種しても奇形などの発生率がどうかは分からないと考えられます。妊娠後期にコロナに感染すると重症化するのでそれまでには絶対に接種した方が良いと考えられますが、現時点(2021年8月)では器官形成期(妊娠12週まで)は接種はしても大丈夫とは言えないと考えます。ただ、東京などははかなり感染率が高くなっているので悩む所ではありますが。
東京に住んでいる娘が現在妊娠9週なので、正確な情報を得たいと思い調べてみました。このような情報を得ても親心としては悩むところです。